親知らずの抜歯

TOP

親知らずとは

親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれる歯で、通常20歳前後に生えてくる大人の最後の歯です。
簡単に言えば、「乳歯の段階を経ずに、一番奥に生える永久歯」となります。
他の歯と異なり、生えてくる位置や向きに個人差があり、正常に生え揃わないケースも多いのが特徴です。
親知らず自体は必ずしも不要なものではありませんが、周囲の歯や口腔環境にトラブルを引き起こしやすい傾向があり、場合によっては抜歯が必要となります。

親知らずの症状と抜歯について

親知らずの症状

智歯周囲炎

親知らずは、まっすぐに生えず斜めに萌出することが多くあります。
斜めに生えると、歯の一部が歯肉に埋まったままとなり、歯肉から部分的にしか露出しない場合もあります。
このような状態は、歯の一番奥に位置するために食べカスが溜まりやすく、口腔内が不衛生になりがちです。
その結果、歯肉に炎症が起こる「智歯周囲炎」が発生しやすくなります。
この症状は、特に親知らずが生えてくる17歳から20歳頃に多く見られます。智歯周囲炎は、腫れや痛みを伴い、放置するとさらに悪化するリスクがあります。

虫歯

親知らずは、非常に奥に位置しているため、歯ブラシの毛先が届きにくく、しっかりとした歯磨きができないことが多いです。
このため、親知らずは虫歯になるリスクが高くなります。
虫歯が進行してしまうと、痛みが発生したり、隣の歯にまで影響を及ぼすことがあります。

嚢胞

親知らずの周囲に嚢胞と呼ばれる袋状の組織が形成されることがあります。嚢胞内には液体が含まれており、多くの場合は良性ですが、細菌感染が起こると顎に痛みや腫れが発生します。
嚢胞が大きくなると、周囲の歯や骨に悪影響を与える可能性があり、悪性の疑いがある場合には病理検査が必要となることもあります。

第二大臼歯の吸収

親知らずが正常に生えず、隣の第二大臼歯に押し付けられるような形で生えている場合、第二大臼歯の根が吸収されることがあります。
このような状態は、第二大臼歯の損傷や歯の寿命を短くする原因となるため、早期の治療が必要です。

親知らずの抜歯が必要となる主なケース

痛みや腫れが続く場合

親知らずが正常に生えず、痛みや腫れが慢性的に発生している場合、抜歯が必要となることがあります。
抜歯することにより、症状の悪化やさらなる口腔トラブルを防ぎます。

歯周病や虫歯の原因となっている場合

親知らずが部分的にしか生えていない、または斜めに生えていると、食べ物のカスが溜まりやすく、歯周病や虫歯のリスクが高まります。
このように歯周病や虫歯が口腔全体の健康を脅かす場合、抜歯が必要です。

斜めに生えて周囲の歯に圧力をかけている場合

親知らずが斜めに生えていると、隣の歯に過度の圧力がかかり、歯並びが崩れたり、噛み合わせに問題が発生することがあります。
親知らずを抜歯することで、歯並びや口腔環境のバランスを保つことができます。

歯並びが悪くなる可能性がある場合

親知らずの位置や生え方によっては、他の歯を押し出し、全体の歯並びに悪影響を与えることがあります。
歯並びが悪くなることで、見た目だけでなく、噛み合わせの機能にも問題が生じる可能性があるため、抜歯を選択する方が多いです。

口腔内に十分なスペースがない場合

親知らずが生えるスペースが足りない場合、歯肉を傷つけたり、噛み合わせがうまくいかなくなることがあります。